大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和47年(オ)1306号 判決

主文

理由

上告代理人柏木博、同岩瀬外嗣雄の上告理由について

上告会社においては、被上告会社が上告会社の指値による株式の売却をするまでの間、被上告会社の外務員である訴外永田博がその個人の用に供することを許容して株券を同訴外人に預託したものである旨の原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして是認することができる。右事実関係のもとにおいては、上告会社が同訴外人に株券を預託したことをもつて直ちに上告会社と被上告会社との間に株券預託の関係が生ずるものではなく、同訴外人が上告会社の委託の趣旨に従い株式売却のため株券を被上告会社に交付したときにはじめて被上告会社がその預託をうけたものと解すべきであり、これと同旨の原審の見解は正当であつて、所論の違法はない。その余の所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

(裁判長裁判官 天野武一 裁判官 坂本吉勝 裁判官 江里口清雄 裁判官 高辻正己 裁判官 服部高顕)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例